2007年05月19日
100MALT WHISKY
ディナーを終えて、観劇がはねた後のようなあるひとつの完結した満足感のまま我々はBarへ移動し、カウンターにたむろした。部屋へ戻るひとはいない。
今晩のミンモアハウスに於ける日本人の割合から、バーテンダーに変身した御主人のビクターは、話題の糸口を「ジャパニーズ」に見い出し、日本の文化、伝統、料理について語り始めた。
そして、そのうちに
「そうそう、そういえば、先日、日本のウヰスキーメーカーのひとが来たんだよ。これが、その時にプレゼントされたボトル。」と、とあるボトルを指差した。
「実は僕も日本のウヰスキーを持って来てるんだ・・・」良さんは部屋に戻り、『ニッカ余市原酒25年』をピックアップして来てカウンターの中央に置いた。
シンプル過ぎるボトルに、はじめは皆、怪訝な顔をしていたが、果の地でウヰスキーづくりのノウハウを学び、まさに万年筆一本で、その技法を日本に持ち帰り、サントリーを経て独立し、余市にニッカを起こして、ウヰスキー造りを成功させた、竹鶴政孝のエピソードを紹介すると、一同の熱い眼差しは一点に集中した。いまやオーラを放ち、物語の真髄を成すこのボトルに、垂涎しない者はいない。
酒飲みは、以心伝心。ビクターは7つのグラスを用意し、良さんとのアイコンタクトで了解をとると、ワンフィンガーづつの琥珀色の液体を注ぎ、皆の前にサーブした。一同は、全てをわきまえつつ、しかし、深刻な秘密を抱えたスパイみたいに、無言でティスティングする。対峙して得るオーガズムと余韻の長さは、ぴったりと正比例するものではないだろうか。ますます、言葉は必要でなくなるし、見つめあえば、暗号はすべて伝わる。時間と、愛と、夢をたっぷり含んだ液体を味わうことほど、エキセントリックな儀式は他に無い。
わたしは部屋の隅のソファに離れて、スフレに使われていたカルヴァドスを舐めながら、ジャパニーズローカルクッキー『からからせんべい』http://www.rakuten.co.jp/shonai-kankobussankan/644206/644669/をベンジンに与え、「ウエイト」と「OK」ではなく「待て」と「よし」での調教を試みつつ、「日本~スコットランド友好、ウヰスキーを利く会」の様子を眺めていた。良さま、ここには貴方が、「100杯並べて、ティスティングするんだ」と豪語していた、憧れの 100 MALT WHISKY があるのだけれどな・・・往き付けるのかしら?
グレンリヴェットの谷は、羊と、牛と、うさぎの、夢を食むような咀嚼と、穏やかな瞼に閉ざされて、どんどん世界から断絶されてゆくのであった。
今晩のミンモアハウスに於ける日本人の割合から、バーテンダーに変身した御主人のビクターは、話題の糸口を「ジャパニーズ」に見い出し、日本の文化、伝統、料理について語り始めた。
そして、そのうちに
「そうそう、そういえば、先日、日本のウヰスキーメーカーのひとが来たんだよ。これが、その時にプレゼントされたボトル。」と、とあるボトルを指差した。
「実は僕も日本のウヰスキーを持って来てるんだ・・・」良さんは部屋に戻り、『ニッカ余市原酒25年』をピックアップして来てカウンターの中央に置いた。
シンプル過ぎるボトルに、はじめは皆、怪訝な顔をしていたが、果の地でウヰスキーづくりのノウハウを学び、まさに万年筆一本で、その技法を日本に持ち帰り、サントリーを経て独立し、余市にニッカを起こして、ウヰスキー造りを成功させた、竹鶴政孝のエピソードを紹介すると、一同の熱い眼差しは一点に集中した。いまやオーラを放ち、物語の真髄を成すこのボトルに、垂涎しない者はいない。 酒飲みは、以心伝心。ビクターは7つのグラスを用意し、良さんとのアイコンタクトで了解をとると、ワンフィンガーづつの琥珀色の液体を注ぎ、皆の前にサーブした。一同は、全てをわきまえつつ、しかし、深刻な秘密を抱えたスパイみたいに、無言でティスティングする。対峙して得るオーガズムと余韻の長さは、ぴったりと正比例するものではないだろうか。ますます、言葉は必要でなくなるし、見つめあえば、暗号はすべて伝わる。時間と、愛と、夢をたっぷり含んだ液体を味わうことほど、エキセントリックな儀式は他に無い。
わたしは部屋の隅のソファに離れて、スフレに使われていたカルヴァドスを舐めながら、ジャパニーズローカルクッキー『からからせんべい』http://www.rakuten.co.jp/shonai-kankobussankan/644206/644669/をベンジンに与え、「ウエイト」と「OK」ではなく「待て」と「よし」での調教を試みつつ、「日本~スコットランド友好、ウヰスキーを利く会」の様子を眺めていた。良さま、ここには貴方が、「100杯並べて、ティスティングするんだ」と豪語していた、憧れの 100 MALT WHISKY があるのだけれどな・・・往き付けるのかしら? グレンリヴェットの谷は、羊と、牛と、うさぎの、夢を食むような咀嚼と、穏やかな瞼に閉ざされて、どんどん世界から断絶されてゆくのであった。
Posted by 夢大多亭 at 10:41│Comments(5)│TrackBack(1)
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グレンリベット先日、取引先の方と飲みに行った時にご馳走になったウィスキー(シングルモルト)です。飲みやすくて美味しかったのでその場で名前をメモして、家に帰ってから調べてみ...
グレンリベット【食いしん坊のブログ】at 2007年05月20日 19:44
この記事へのコメント
>夢大多亭様
100もの蒸溜所のモルトを前にしても輝きを放った余市に、そして竹鶴氏に敬意を表して、今夜のお酒は余市にします(^^)
100もの蒸溜所のモルトを前にしても輝きを放った余市に、そして竹鶴氏に敬意を表して、今夜のお酒は余市にします(^^)
Posted by モルト大好き at 2007年05月19日 14:54
モルト大好きさま
竹鶴政孝氏は、幸せですよね。
実際に会わなくても、亡くなった後でも、
彼にスランジバーを捧げたウイスキーグラスは、どれだけあることか。
竹鶴政孝氏は、幸せですよね。
実際に会わなくても、亡くなった後でも、
彼にスランジバーを捧げたウイスキーグラスは、どれだけあることか。
Posted by at 2007年05月20日 07:32
彼の著書や彼に関する本を読む度に、熱い思いがこみ上げてきます。(^-^)/一昨年、念願のお墓にも参って、そこから見下ろす余市工場は感無量でした。あっ、食堂で食べたリタ婦人直伝のシチューもおいしかったです。(>_<) 何度でも行きたいです。
Posted by 赤枝騎士 at 2007年05月20日 10:20
彼の著書や彼に関する本を読む度に、熱い思いがこみ上げてきます。(^-^)/一昨年、念願のお墓にも参って、そこから見下ろす余市工場は感無量でした。あっ、食堂で食べたリタ婦人直伝のシチューもおいしかったです。(>_<) 何度でも行きたいです。そしてスコットランドにも。
Posted by 赤枝騎士 at 2007年05月20日 10:21
赤枝騎士さま
「望郷」読まれましたか?
まだでしたら、ぜひお手に取ってみてください。
リタの側からの視点で書かれたフィクションですが、
これまた、熱さ3倍です。
リタ直伝シチュー、まだ食べていません。行かなくっちゃ。
「望郷」読まれましたか?
まだでしたら、ぜひお手に取ってみてください。
リタの側からの視点で書かれたフィクションですが、
これまた、熱さ3倍です。
リタ直伝シチュー、まだ食べていません。行かなくっちゃ。
Posted by at 2007年05月26日 11:48







